御上神社

御上神社 神社
神社
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御上神社は、滋賀県野洲市に聳える「近江富士」の名をもつ三上山の麓にある式内社で、製鉄の神・天目一箇神と同一視される天之御影大神を祀っています。鎌倉時代の建築である仏堂風の本殿は国宝に指定されています。10月の古例祭は「ずいき祭り」と呼ばれ、里芋の茎で作られた神輿が登場し、子供相撲も奉納されます。

旅行先の地図

旅行先の概要

御祭神 天之御影命
所在地 滋賀県野洲市三上838
交通 JR琵琶湖線「野洲駅」から滋賀交通バスで約10分、「御上神社前」下車、徒歩約3分
名神高速道路「栗東IC」から車で約5分
拝観料 無料
駐車場 国道8号沿いの神社南側に舗装済の無料駐車場あり。トイレ棟わき自動販売機前に身障者専用駐車区画あり。
URL
連絡先 御上神社 077-587-0383

歴史・由来

御上神社は、滋賀県野洲市の国道8号沿いに鎮座する神社で、神体山でありその形容から「近江富士」の美称でよばれる三上山の麓に位置しています。

『三上社伝記』によれば、孝霊天皇6年(前285)、天之御影命が三上山上に降臨したといい、『古事記』にも開化天皇の事跡を記すなかで、神職に当たる「御上祝」が天之御影神を祀っていたことを記しています。また、養老2年(718)には藤原不比等が三上山のカヤの木で正殿を造ったといいます。

この三上山の近傍、大岩山古墳群がある大岩山中腹からは、1か所からの出土としては珍しい24個もの銅鐸が発見され、うち高さ134.7センチメートルの1号鐸(東京国立博物館蔵、重要文化財)は現存するものとしては日本最大となっています。御祭神である天之御影神も製鉄の神とされる天目一箇命と同一視されており、三上山周辺では古来祭祀が行われてきたことがうかがわれます。

平安時代の『延喜式』には名神大社として記載され、また社記では円融天皇の時代に毎日交替で国家を守護するとされた本地垂迹説に基づく三十番神のうちの27日目の神(三上大明神、本地千手観音)とされたといいます。

『吾妻鏡』には建久元年(1190)に源頼朝が上洛する途上で御上神社から酒肴などが献上されたと記されていますが、その後源頼朝や足利尊氏、豊臣秀吉らの寄進を受けるなど武家の崇敬を受けており、江戸時代には神領33石あまりが認められていました。

また、『太平記』などに見られるとおり、神体山である三上山には、山の周囲を7巻き半も取り囲む大ムカデが住んでいたとされ、俵藤太の別名で知られる武士・藤原秀郷が、瀬田の唐橋にいた竜神の依頼を受けて退治したという伝説があります。

御上神社は平安時代初期の『日本霊異記』に三上神の説話があるとおり、早くから神仏習合が進んでおり、神社建築として一般的な切妻造りとは異なる、入母屋造りの本殿となっています。鎌倉時代後期の本殿は仏教建築の様式の影響を受けたと思われる独特なもので、「御上造」ともよばれ、国宝に指定されています。

毎年10月の秋季古例祭は通称「ずいき祭り」と呼ばれており、サトイモの茎であるずいきと竹の骨組みを組み合わせて作った神輿が登場するほか、夕方から楼門前で行われる「芝原式」では子供相撲などが奉納されます。御上神社には相撲神事を表す最古の彫像とされる平安時代の相撲人形がありますが、こうした神事は中世に起源をもつ宮座とよばれる地元住民の祭祀組織により担われており、たいへん貴重であることから、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

車椅子で旅行するポイント

御上神社

【1】国道8号沿いの御上神社駐車場は舗装済みで無料。鳥居前に身障者用トイレ含むトイレ棟。また、トイレ棟わきにはスロープと身障者用駐車区画もある。

御上神社

【1-1】身障者用トイレ内部(手すり、小児用ベッドあり)

御上神社

【2】駐車場から周回道路を横切って鳥居前へ。楼門にのびる正面参道はすべて玉砂利敷。

御上神社

【3】正面参道途中に授与所や社務所がある。入口は段差が解消されている。

御上神社

【4】御上神社楼門。簡易なスロープを置いているが若干の段差がある。なお、正面参道のほか、周回道路から楼門手前西側までの舗装車道もある。

御上神社

【4-1】楼門の段差。木製の簡易なスロープ状が置かれている。

御上神社

【5】御上神社拝殿、奥に本殿。周囲は正面参道と同様に玉砂利敷となっている。



御上神社境内図

境内配置図 [凡例]
本殿 拝殿 大神宮社 三宮神社 若宮神社 古神札納所 神輿庫 楼門 御鍵取神社 愛宕神社 授与所 社務所 手水舎 英霊奉斎殿 三上集楽センター 御上神社バス停 悠紀斎田記念田 悠紀児童公園 御上神社前交差点 国道8号 滋賀県道504号小島野洲線

移動のしやすさ ★★★☆☆
バリアフリーの状況 舗装された駐車場内に身障者用トイレ、トイレ棟わきに身障者駐車区画とスロープがある。正面参道から入場しても概ね平坦だが、地面はすべて玉砂利敷で車椅子には不都合なので、周回道路の西側から社務所北、楼門手前のあたりまで車で迂回して、移動距離を短くするという方法もある。なお、楼門には若干の段差があるので介助は欲しい。

周辺の名所・観光スポット

銅鐸博物館(野洲市歴史民俗博物館)

野洲市にある大岩山中腹から出土した弥生時代の銅鐸を中心として、銅鐸の謎や郷土の歴史と民俗を紹介する展示施設。隣接する弥生の森歴史公園には竪穴住居や高床倉庫が復元され、古代ハス(大賀ハス)や赤米栽培も行われている。また、敷地内の史跡宮山二号墳では、石室内部の様子が見学できる。
【身障者用トイレ・駐車場・スロープ・車椅子貸出あり。障害者手帳提示で入館料の減免あり。】

■参考サイト:野洲市>銅鐸博物館(野洲市歴史民俗博物館)