福祉の手続
このカテゴリでは、障害者手帳、障害福祉サービス、年金・医療、税の減免など、障害者の自立と社会参加を支援する各種の公的制度について説明します。
身体障害者手帳
身体障害者手帳とは
「身体障害者手帳」は、身体障害者福祉法に定める障害の程度に該当する人に交付されるもので、各種の福祉サービスや税金・公共料金の減免などを受ける際に必要となるものです。障害の部位や程度に応じて、1級から7級までの等級があります。
身体障害者手帳の交付対象
運動機能、視覚、聴覚・平衡機能、音声・言語・そしゃく機能、上肢・体幹・下肢機能、呼吸器機能、心臓機能、肝臓機能、じん臓機能、小腸機能、ぼうこう又は直腸機能、免疫機能のいずれかに一定以上の障害のある人身体障害者手帳の必要書類
- 申請書
- 身体障害者診断書・意見書(医師が作成する)
- 印鑑
- 顔写真(縦4cm×横3cmの証明用写真)
身体障害者手帳取得までの流れ
- 市町村の福祉課で必要書類を入手
- 指定医に「身体障害者診断書・意見書」を作成依頼
- 記入済みの必要書類一式をもって市町村の福祉課に申請
- 市町村又は都道府県で審査
- 身体障害者手帳の受け取り(申請から約1か月程度)
障害福祉サービス
障害福祉サービスとは
「障害者総合福祉法」に基づき、障害の程度に応じて、日常生活の援助を行うホームヘルパーの派遣、通所施設でのリハビリ・就労訓練、入所施設での介護などの様々なサービスが受けられます。障害福祉サービスの対象
- 身体障害者手帳、愛の手帳(療育手帳)、精神障害者保健福祉手帳の所持者
- 自立支援医療(精神通院)や障害年金の受給者
- 難病患者
障害福祉サービスの必要書類
- 申請書
- 対象者であることを証明する書類(障害者手帳、自立支援医療受給者証、年金証書、特定疾患医療受給者証など)
障害福祉サービス受給までの流れ
- 市町村の福祉課又は相談支援事業者に相談
- 市町村の福祉課に必要書類を提出して申請
- 市町村職員による聴き取り調査
- 市町村における審査
- 障害程度区分認定(介護給付のみ)
- サービス支給量の決定
- 「障害福祉サービス受給者証」の受け取り
- 事業者との契約・利用計画作成
- サービス利用
障害福祉サービスの自己負担額
- 原則としてサービスに要した費用の1割
- ただし、世帯の所得に応じた「自己負担上限月額」あり 【生活保護・市町村民税非課税世帯は0円、所得割16万円未満は9300円、それ以外は37200円】
日常生活用具給付等事業
日常生活用具給付等事業とは
重度の障害者等について、日常生活上の便宜を図るための用具が給付又は貸与されます。日常生活用具給付等事業の対象者
重度の身体障害者(児)、知的障害者(児)、精神障害者であって、当該用具を必要とする者日常生活用具給付等事業の対象となる用具
種類 | 具体例 |
---|---|
介護・訓練支援用具 | 体位変換器、移動用リフト、訓練用ベッドなど |
自立生活支援用具 | 頭部保護帽、電磁調理器、つえなど |
在宅療養等支援用具 | 透析液加温器、ネブライザー、酸素ボンベ運搬車など |
情報・意思疎通支援用具 | 携帯用会話補助装置、福祉電話など |
排泄管理支援用具 | ストマ装具、紙おむつ、収尿器など |
居宅生活動作支援用具 | 小規模な住宅改修 |
日常生活用具給付等事業の申請窓口
市町村の福祉課日中一時支援事業
日中一時支援事業とは
在宅の障害者・障害児の介護者が一時的に介護ができないときに、施設や学校の空き教室などで預かり、見守りをするサービスです。日中一時支援事業の対象者
日中において監護する者がいないため、一時的に見守り等の支援が必要と市町村が認めた障害者・障害児日中一時支援事業の申請窓口
市町村の福祉課移動支援事業
移動支援事業とは
屋外での移動が困難な障害者について、ガイドヘルパーが付き添い、外出のための支援を行います。移動支援事業の対象者
障害者等であって、市町村が外出時に移動の支援が必要と認めた者移動支援事業の対象となる外出
社会生活上必要不可欠な外出(冠婚葬祭、預金の引出し、日用品の買物など)及び余暇活動(スポーツ大会、講演会への参加など)移動支援事業の申請窓口
市町村の福祉課コミュニケーション支援事業
コミュニケーション支援事業とは
障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者に手話通訳者等を派遣します。コミュニケーション支援事業の対象者
聴覚、言語機能、音声機能、視覚その他の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある障害者等コミュニケーション支援事業の申請窓口
市町村の福祉課盲導犬の貸与
盲導犬の貸与とは
視覚障害者が安全に移動し社会参加を図るために盲導犬を無償貸与します。盲導犬の貸与の対象者
18歳以上の身体障害者手帳取得者で、視力障害程度が1、2級の人(ただし、貸与にあたり事前の共同訓練が必要です。)盲導犬の貸与の申請窓口
全国の盲導犬協会、訓練センター所得税・住民税の控除
所得税・住民税の控除とは
本人やその配偶者、扶養親族が障害者である場合について、確定申告により所得税・住民税の一定額が控除されます。所得税・住民税控除の対象と控除の内容
対象 | 控除の種類 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|---|
一般の障害者 | 障害者控除 | 27万円 | 26万円 |
重度の障害者 身体障害:1、2級 知的障害:重度 精神障害:1級 | 特別障害者控除 | 40万円 | 30万円 |
配偶者及び扶養親族が同居の特別障害者 | 同居特別障害者加算 | 75万円 | 53万円 |
所得税・住民税控除の手続
納税義務者がサラリーマンの場合は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入して年末調整で控除する。納税義務者が自営業などの場合は、「確定申告書」の「障害者控除」欄に必要事項を記入して申告する。
※ くわしくは障害者控除のページまたは所得税の確定申告のサイトを参照してください。
自動車税・自動車取得税の減免
自動車税・自動車取得税の減免とは
障害者手帳を所持し一定の条件にあてはまる場合に、自動車取得税・自動車税が減免されます。自動車税・自動車取得税の減免対象
障害者手帳を所持している人で、障害の程度が一定の条件にあてはまる人NHK受信料の減免
NHK受信料の減免とは
NHKと放送受信契約を結んでいる世帯について、受信料を免除する制度があります。NHK受信料の減免対象と減免内容
対象 | 減免額 |
---|---|
障害者手帳所持者が世帯構成員で、世帯全員が市町村民税非課税 | 全額 |
障害者本人が世帯主かつ受信契約者で、次のいずれかの場合 視覚又は聴覚障害者 身体障害:1・2級 知的障害:重度 精神障害:1級 | 半額 |
NHK受信料の減免の必要書類
- 申請書
- 印鑑
NHK受信料の減免までの流れ
- 市町村の福祉課窓口で申請書を記載し、市町村の証明を受ける。
- 証明を受けた申請書をNHKに提出する。
- NHKから折り返し「受信料全額免除証明書」が郵送され、受信料が減免される。
- NHKの受信契約をしていない場合は、あわせて受信契約を締結する。
JR運賃の障害者割引
JR運賃の障害者割引の対象と内容
対象 | 乗車券の種類 | 割引率 |
---|---|---|
第1種障害者とその介護者 | 普通乗車券 回数乗車券 普通急行券 | 50% |
第1種障害者とその介護者又は12歳未満の障害者とその介護者 | 定期乗車券 (小児定期乗車券を除く) | 50% |
第1種、第2種障害者が単独利用 (片道100キロ超の場合のみ) | 普通乗車券 | 50% |
JR運賃の障害者割引の窓口
JR各駅等(料金支払時に障害者手帳を提示)その他
JR以外の私鉄路線についても同様の割引制度があります。なお、これらの私鉄路線のなかには、身体・知的障害者のほかにも、精神障害者を対象とする割引制度をもつものがあります。バス運賃の障害者割引
バス運賃の障害者割引の対象と内容
乗車券の種類 | 割引率 |
---|---|
普通乗車券 | 50% |
定期乗車券 | 30% |
バス運賃の障害者割引の窓口
各バス会社(料金支払時に障害者手帳を提示)有料道路の障害者割引
有料道路の障害者割引の対象
身体障害者本人が運転する場合は、すべての身体障害者が該当本人以外が運転し、障害者本人が同乗する場合は、重度の身体又は知的障害者のみ該当
有料道路の障害者割引の割引率
料金の半額有料道路の障害者割引の有効期間
手続きを終了した日からその後の2回目の誕生日まで更新の場合は手続きを終了した日からその後の3回目の誕生日まで
有料道路の障害者割引の流れ
- あらかじめ市町村の福祉課で申請し、障害者手帳に車両ナンバーの登録を受ける。
- 窓口で「ETC利用対象者証明書」を受け取り「有料道路ETC割引登録係」に郵送する。【ETCのみ】
- ETC割引の利用可能日が折り返し郵便で通知され、以後は自動精算される。【ETCのみ】
- 有料道路を利用の際、そのつど料金所職員に手帳を提示し、割引を受ける。【ETC以外】
有料道路の障害者割引の申請窓口
市町村の福祉課障害年金
障害年金とは
病気やけがによって日常生活や就労が困難になった場合に、障害年金が支給されます。障害年金の支給要件
保険料を一定期間(加入期間の3分の2以上)納付していること初診日時点で年金に加入していること
障害年金の支給金額(令和5年4月分から)
障害等級 | 昭和31年4月2日以後生まれ | 昭和31年4月1日以前生まれ |
---|---|---|
1級 | 993,750円 | 990,750円 |
2級 | 795,000円 | 792,600円 |
障害年金の申請窓口
住所地を管轄する市町村役場の年金係または年金事務所心身障害者扶養共済
心身障害者扶養共済とは
障害者の保護者が死亡・重度障害となった場合に、毎月の掛金に応じて障害者へ終身一定額の年金が支給される制度です。心身障害者扶養共済の対象者
心身障害者(児)の保護者で、年齢が65歳未満の人心身障害者扶養共済の掛金月額
基本掛金 9,300円~23,300円(加入時の保護者の年齢による)加算掛金 9,300円~23,300円(加入時の保護者の年齢による)
心身障害者扶養共済の給付金
月額20,000円(掛金を加算した場合は月額40,000円)心身障害者扶養共済の申請窓口
市町村の福祉課更生医療
更生医療とは
障害者が一定の医療を受けた際に、病院・薬局で支払う医療費の自己負担分を原則1割に軽減する公費負担制度です。更生医療の対象者
身体障害者手帳を所持する18歳以上の人が対象です。障害の種類に応じて対象となる医療(手術)が異なります。
更生医療の必要書類
- 申請書
- 印鑑
- 身体障害者手帳
- 健康保険証(本人と同一保険に加入している家族全員のもの)
- 自立支援医療給付意見書(医師が記載したもの)
更生医療の申請窓口
市町村の福祉課重度心身障害者(児)医療費助成制度
重度心身障害者(児)医療費助成制度とは
重度障害者(児)が診療を受けた際の医療費の自己負担分を支給する制度です。重度心身障害者(児)医療費助成制度の対象者
- 身体障害者手帳1級又は2級の所持者
- 身体障害者手帳3級を所持し、障害名が心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう又は直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害のいずれかに該当する者
- 障害基礎年金1級の受給者
- その他の重度障害者(児)
重度心身障害者(児)医療費助成制度の必要書類
- 申請書
- 印鑑
- 健康保険証
- 身体障害者手帳、障害年金証書など要件に該当することを証明するもの
重度心身障害者(児)医療費助成制度の申請窓口
市町村の福祉課指定難病医療費助成制度
指定難病医療費助成制度とは
原因が不明であって治療方法が確立していない特定の疾患について、治療費を公費で負担(自己負担上限額の範囲内での一部自己負担あり)する制度です。指定難病医療費助成制度の対象者
- 指定難病に該当し、一定の基準(重症度または医療費負担)を満たしている人
- 申請する都道府県内に住所を有している人
- 公的医療保険(国民健康保険や健康保険など)に加入している人又は生活保護受給者
指定難病医療費助成制度の対象疾病
国が指定した338疾病(全身性エリテマトーデス、強皮症、潰瘍性大腸炎、クローン病、後縦靱帯骨化症、パーキンソン病など)
指定難病医療費助成制度の申請書類
- 申請書
- 臨床調査個人票(診断書)
- 健康保険証の写し(場合により本人のほか世帯全員分)
- 市町民税の課税(または非課税)状況が分かる証明書類
- 世帯全員の住民票
- 加入健康保険への照会のための同意書
- その他必要な書類(介護保険被保険者証など)
指定難病医療費助成制度の申請窓口
都道府県の保健所または市町村の福祉課(地域により異なります。)自動車運転免許取得・改造助成事業
自動車運転免許取得・改造助成事業とは
自動車運転免許の取得及び自動車の改造に要する費用の一部を助成します。自動車運転免許取得・改造助成事業の対象者
自動車運転免許の取得または自動車改造によって社会参加が見込まれる障害者または難病患者ただし、所得税の課税所得金額が一定限度を超えないなどの所得制限がある場合があります。
自動車運転免許取得・改造助成事業の対象経費
自動車運転免許取得助成は、自動車運転免許取得に直接要した経費(自動車学校の教習費用など)の3分の2以内、10万円限度。自動車改造助成は、自動車改造(ハンドルのジョイスティック、左足用クラッチなど)のために実際に支出した額で、10万円限度。
自動車運転免許取得・改造助成事業の申請窓口
市町村の福祉課駐車禁止除外指定
駐車禁止除外指定とは
身体障害などを理由とする歩行困難者の車両は、「駐車禁止除外指定車標章」を掲出することにより、駐車禁止規制の対象から除外されます。駐車禁止除外指定の対象者
一定の等級に該当する身体・知的・精神障害者、戦傷病者、小児慢性特定疾患児手帳所持者のうち色素性乾皮症患者、その他身体障害者等で歩行が困難なことにより社会生活が制限されると認められる人など駐車禁止除外指定の申請窓口
管轄の警察署※ くわしくは駐車禁止除外指定のページを参照してください。
郵便投票
郵便投票とは
身体の障害などのために選挙の当日に投票所へ行って投票をすることができない人が、自宅などで投票用紙に記載をして、郵便で投票を行うことができる制度です。郵便投票の対象者
障害または要介護を証明するもの及びその部位 | 障害の程度 | |
---|---|---|
介護保険の被保険者証 | 要介護5 | |
身体障害者手帳 | 両下肢・体幹・移動機能 | 1級・2級 |
心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸 | 1級・3級 | |
免疫 | 1級から3級 | |
戦傷病者手帳 | 両下肢・体幹 | 特別項症から第2項症 |
心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸 | 特別項症から第2項症 |
郵便投票の申請窓口
市町村の選挙管理委員会※ くわしくは郵便投票のページを参照してください。
生活保護
生活保護とは
生活に困窮する人に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度です。生活保護の対象者
生活に困窮する人(保護は世帯単位で行われます。)ただし、
- 生活に困窮する人が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用すること
- 民法に定める扶養義務者の扶養および他の法律に定める扶助を優先すること
生活保護の支給額
最低生活費から収入(年金や就労収入など)を差し引いた額が保護費として毎月支給されます。ただし、住んでいる地域(級地)、年齢、世帯の人数などにより保護費の金額は異なります。
生活保護の申請窓口
市の福祉事務所、町村を管轄する都道府県の福祉事務所(なお、町村であっても福祉事務所を設置していたり、福祉事務所と保健所が同じ組織(保健福祉センターなど)であったりすることがあります。)
※ くわしくは全国の生活保護のページを参照してください。
児童手当
児童手当とは
家庭の経済的安定と次代の社会を担う児童の健全な成長に資することを目的として、子育てをする人に一定の金額を支給するものです。児童手当の対象者
中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人児童手当の支給金額
児童の年齢等 | 所得制限限度額未満 | 所得制限限度額以上 所得上限限度額未満 |
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3歳未満 | 15,000円 | 5,000円 |
3歳以上小学校修了前 | 10,000円 (第3子以降は15,000円) | 5,000円 |
中学生 | 10,000円 | 5,000円 |
児童手当の申請窓口
市町村の児童福祉課※ くわしくは全国の児童手当のページを参照してください。