障害者総合福祉法
障害者総合福祉法とは
「障害者総合福祉法」は、平成25年4月1日から施行された法律で、 正式名称を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」といいます。
これまでの「障害者自立支援法」を法律の題名を含めて大幅改正したもので、障害者の定義に難病等を追加するとともに、重度訪問介護の対象者の拡大、ケアホームのグループホームへの一元化などを実施することとしています
参考ページ
厚生労働省 障害者総合支援法が施行されました
障害者総合福祉法制定の背景
「障害者自立支援法」により導入された「応益負担」の原則は、障害が重いほど自己負担が大きくなることから、 法の下の平等に反する障害者への差別的取扱いだとして、全国で違憲訴訟が提起されました。
平成22年1月7日、当時の民主党政権下で、国と障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団は、「障害者自立支援法」廃止と平成25年8月までの新法実施などを内容とする基本合意を締結し、和解しました。
この基本合意を踏まえ、「障害者自立支援法」に代わる新法の内容が「障がい者制度改革推進会議」において議論されました。
基本合意の期限が迫るなか、国は実務上困難として「障害者自立支援法」廃止を断念し、推進会議の意見を踏まえた「障害者自立支援法」ほか関連法律の一部改正という形式で、平成24年6月に「障害者総合福祉法」を制定し、平成25年4月から施行することとなりました。
注記
「応益負担」とは、(所得にかかわらず)受けたサービスの内容に応じて対価を支払うこと。これに対して「応能負担」は、所得に応じて対価を支払うことをいう。なお、「障害者自立支援法」は「応益負担」が原則ではあるものの、自己負担上限額の設定や低所得者の減免等の一定の配慮はなされていた。
参考ページ
内閣府 障がい者制度改革推進会議
障害者総合福祉法の概要
1.題名
「障害者自立支援法」という題名を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」に改める。
2.基本理念
法に基づく日常生活・社会生活の支援が、共生社会を実現するため、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の除去に資するよう、総合的かつ計画的に行われることを法律の基本理念として新たに掲げる。
3.障害者の範囲
「制度の谷間」を埋めるため、障害者の範囲に「その他の心身の機能の障害のある者」として難病患者等を加える。
4.障害支援区分の創設
旧「障害者自立支援法」において障害福祉サービスの支給量の目安とされていた「障害程度区分」について、障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示す「障害支援区分」に改める。
5.支援体系の整備拡充
主に重度の肢体不自由者を対象としていた「 重度訪問介護」について、サービスの対象を重度の知的障害者・条例の精神障害者に拡大する。
住居でのケアが柔軟にできるよう、障害福祉サービスのメニューのうち「共同生活介護(ケアホーム)」を「共同生活援助(グループホーム)」に一元化する。
主に精神病院入院患者が地域に移行する際の支援を目的としている「地域移行支援」サービスの対象を、保護施設・矯正施設の退所者等にまで拡大する。
障害者に対する理解を深めるための研修・啓発事業、手話通訳者など意思疎通支援を行う者を養成する事業などを「地域生活支援事業」として追加する。
6.サービス基盤の計画的整備
都道府県・市町村は、 障害福祉サービス等の提供体制の確保に係る目標に関する事項、地域生活支援事業の種類ごとの実施に関する事項を「障害福祉計画」で定める。
国の「基本指針」、都道府県・市町村の「障害福祉計画」に関する定期的な検証と見直しを法定化する。
市町村は「障害福祉計画」を作成するに当たって、障害者等のニーズ把握等を行うことを努力義務化する。
「自立支援協議会」の名称について、地域の実情に応じて定められるよう弾力化するとともに、当事者や家族の参画を明確化する。
7.施行期日
平成25年4月1日(ただし、4.及び5.の一部は平成26年4月1日)
障害者総合福祉法に関する検討事項
障害者施策を段階的に講じるため、障害者やその家族その他の関係者の意見を反映させつつ、法律の施行後3年を目途として、以下の項目について検討することとされました。